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Fate/hollow ataraxia バゼット深読み2 - 自己肯定感を持てないまま生き続けろ

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引き続きバゼットさんについてです。

Fate/hollow ataraxiaの中での彼女は徹底的に自己肯定感の欠如した人間として描かれている。


Fate関連のWikiではバゼットは惚れっぽいと書かれているけれども、好みのタイプははっきりしていて強い人が好き。そういう人を信頼して背中を預けられる関係を求めているのです。

それはなぜか?

バゼットは生まれつき自分に自信を持てない人間だからだ。自分をどんなに鍛えようともその欠落を埋めることができなかった。それゆえ他人に認められないと不安で仕方がない。


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「弱気になっているのは分かっています。それでも、貴方の意見を聞かせてほしい。

……その、私たちは勝てると思う?

戦力的に劣るのが事実でも、こうして繰り返していけばいつか」

(夜の聖杯戦争3)

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人間の身で英霊を圧倒しておきながらアンリマユに「勝てると思う?」と聞いてしまう。しかも2度も。


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自信がなくて、私が契約者で不満はないのかとおそるおそる尋ねてみた。

(夜の聖杯戦争7)

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ランサーを召還した直後。どうしてもこういうことを確認してしまう。


そして、他人から良いところをいくら褒められても素直に認められないのに、ダメなところを指摘されると自分を認めてもらえたと思ってしまう。

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「……どうかしています。

悔しいけれど、貴方の言う通りですアンリマユ。

私は馬鹿だ。そうストレートに言われると、さすがに誤魔化しきれません」

自然な声で、彼女は言った。


「知らなかった。誰かに弱さを指摘されるという事は、自分を認めてもらうという事なのですね。

……ええ。貴方の前では、これぐらいの力の抜きようがちょうどいい。私だけ気を張っていては割が合いませんからね」

(夜の聖杯戦争3)

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こういう性格のためバゼットは任務中に出会った対立組織所属の同業者である言峰綺礼を慕ってしまう。

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この、誰も必要としない男にもし必要とされたのなら、それは何物にも勝る安心なのではないかとー

(フォレスト)

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そして彼に承認されたいがためについ「生きている事さえ苦しく思える。」とこぼしてしまい言峰に付け入られてしまうのです。

おそらくバゼットは言峰に偶然出会えることを期待しながら封印指定執行者という暗殺者としての任務を都合7年くらい続けていたのだろう。


その結果、バゼットは言峰に聖杯戦争に呼び出されて利用される。背中を預けて信頼していた相手にだまし討ちされてフラガ家に伝わる耳飾りで召喚したランサー、故郷の英雄クーフーリンを令呪のある左腕もろとも奪われ瀕死の状態で放置される屈辱的な仕打ちを受ける。


hollowのストーリーではバゼットは聖杯戦争開始時から自分が襲撃されるまでの記憶を失っており、「夜の聖杯戦争6」の場面でようやくいままでの記憶を取り戻す。その屈辱と絶望から延々とループする4日間の夜の聖杯戦争の世界に引きこもろうとしてしまう。


バゼットの心の中では自分の弱さを諦めたい気持ちと克服したい気持ちが常にせめぎあっている。

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本当は----本当は。


そんな自分がとても楽で/そんな弱さを克服したくて、

この惨めな気持ちのまま/こんな惨めな気持ちのまま、

生きていくのだと/生きていくのは

諦めている。/耐えられない。

(夜の聖杯戦争7)

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バゼットは弱さを克服したいと頑張ってきたがその努力は報われない。

それは原因のあるものではなく生まれてついての性格だからだ。


こういう自己肯定感が欠如した人への救いのストーリーとしては、誰かが彼女の心を支えて救ってあげるという流れになりがちなのだが、「Fate/hollow ataraxia」ではそれは否定される。


アンリマユがバゼットを諭す。

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自分に対する不信感。

周囲に対する罪悪感。

ある一点において誰よりも特化していると自負できるのに、結局、自分は最後まで何も成し得ないだろうという確信。

……鍛えれば鍛えるほど。

努力すればするほど、自分は周りから見放されていく。

その敗北感こそが、生れついた時から離れない、この女の心の瑕だ。

「でも、努力するしか道はない。孤立する無様さより、努力をしない無様さの方がアンタには耐えられない。

そうして---アンタはずっと、強者なのに一番底にいるという屈辱に苛まれる。

その克服はここでも出来なかった。

そうだろう?どんなに勝ち残り、何人のマスターを倒したところで。

……アンタは一度も、自分を誇りに思えなかった」

「---、それは貴方だって」

憎んでばかりで。

愛したものを、片っ端から食い散らすしか出来ないクセに。

「言っとくけどさ、何処であろうと無理なんだ。その惨めさは一生拭い去れない。それは人間が死ぬまで抱えていくものだ。」

(天の逆月)

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その惨めさを自力で拭い去ることもできないし、誰かに肩代わりしてもらうこともできない。惨めさを抱えてもがいて生き続けろ。



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「---それでも、ここまでやってきたじゃないか。

アンタは不器用で無様だったけど。

ずっと、少しでもマシな自分になろうと頑張ってきた」


弱くても努力して、なんとか自分を良くしていこうと足掻いてきた。

今まで苦しみながら呼吸を続けてきた。


…その誇りを。

お前が認めてやらなくて、誰が認めてやれるだろう。

(天の逆月)

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自分で自分を認められない自信のなさ。つい他人に承認を求めてしまう面倒くささ。他人が抱えてくれることなどありえない重苦しい信頼を抱いて裏切られる惨めさ。

それらに一生抗いながら生きていけ、というのがバゼットのような自分に自信のない人間に対する「Fate/hollow ataraxia」からの回答なのだ。

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